化粧品・健康食品の商品開発コンサルティング&OEM企画

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第1回 本物ってなに?

本物。

シンプルですがとても難しい言葉なので、反対に偽物とは何かを考えてみましょう。

偽物と聞いて気持ちがいい人はいないと思います。偽物は人をだまし、不快にさせ、時には傷つけることさえあります。

本物はこの逆です。人に信頼され、快適にし、問題を解決してくれる。それが本物です。

あなたは本物のコスメ、本物のサプリと出会えているでしょうか?

答えがNoでも仕方がありません。残念ですがこの業界では、偽物を本物と勘違いしたまま商品を販売したり、偽物と分かっていながら堂々と商売をしているケースもあります。

私はビジネスを通じて、本物の商品を提供できる企業と、本物の商品が分かる消費者を増やしていきたいと思っています。

このメルマガでは本物と偽物を見分ける方法を、商品開発の視点で、一般の人にも分かりやすく伝えていきます。今は小さな活動ですが、応援していただければとても嬉しいです。

次回より、いよいよ具体的な『目利き力』の伝授をスタートします。テーマは『パッケージにかくされたヒント』です。どうぞお楽しみに!


第2回 パッケージにかくされたヒント

化粧品はサンプルを使用し、納得して購入するのが一番ですが、サンプルを入手できない場合の情報源としては次の3つがあります。

1.広告
2.口コミ、記事
3.パッケージ

1は売り手が伝えたい情報です。2は1より客観的ですが、情報に偏りがあったり、サクラが仕込まれていたりするケースもあります。

3からはイメージ情報だけを受け取ってしまいがちですが、実はここに『本物コスメの目利き力』のヒントがあります。

我々、処方開発者はパッケージの全成分表示を見ただけで、その商品が効果をどの程度重視してつくられたものかを読み取ることができます。

全成分表示とは2001年4月から化粧品のパッケージへの成分表示が義務づけられたもので、配合量の多い順番に表記されます(配合量が1%以下の成分は順不同)。

実はこの『1%以下の成分は順不同』がくせ者なのです…

一般の方にすべての成分の内容を理解してもらうのは不可能なので、ここでは全成分表示でありがちなパターンを知ってもらうことで、化粧品の『目利き力』をアップしていただきたいと思っています。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第3回 売り手の心理

店頭で手にした保湿用化粧水。パッケージには『コラーゲンペプチド配合』の文字、そして全成分表示でも加水分解コラーゲンがしっかり上位に…

水、BG、加水分解コラーゲン、ダイズエキス、エタノール、メチルパラベン

消費者が入手できる情報はここまでになりますが、この化粧水が仮にこんな処方だったら少しがっかりですよね。

水 95.795%
BG 3%
エタノール 1%
メチルパラベン 0.2%
ダイズエキス 0.004%
加水分解コラーゲン 0.001%
合計 100%

前回もお話ししましたように、全成分表示は配合量の順番に表示されますが、1%以下の成分は順不同でOKなのです(香料、色素は最後に表示されます)。

『コラーゲンやイメージのよい成分は前に、アルコールや防腐剤は後ろに…』

順不同でOKであれば、売り手の心理はこうなってしまうのではないでしょうか?

極端な例で説明しているので、疑い過ぎてもよくないのですが、こうした売り手の心理を知ることも『目利き力』の重要なポイントになります。

それを踏まえた上で、次回メルマガではさらに具体的な全成分表示の読み込み方を伝授します。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第4回 ○○エキス

基礎化粧品にはダイズエキスのように『○○エキス』と表示される植物抽出エキスがよく配合されています。

化粧品の製造で使用される植物抽出エキスの原料は、一般的に水、溶剤、エキス分で構成されます。原料中のエキス分は多くても数%レベルなので、製品中になるとエキス分の濃度はかなり低くなります。

そこで今日の『目利き力』。これはとにかく暗記してくださいね!

『全成分表示では植物抽出エキスはほとんどが1%以下レベル』

それでは、この『目利き力』が使えるケースを具体的に説明していきます。

リン酸アスコルビルMg(ビタミンC)配合化粧品の全成分表示

水、BG、アロエエキス、リン酸アスコルビルMg、ダイズエキス…

全成分表示の中でリン酸アスコルビルMgが植物抽出エキスの間に表示されているので、リン酸アスコルビルMgの配合濃度も1%以下のレベルであることが予測されます。

リン酸アスコルビルMgは医薬部外品では有効成分として3%で配合されます。仮にこの商品で、ビタミンC配合が大々的にPRされていれば、『ん?』となる訳です。

ここで話を整理します。全成分表示の『目利き力』には、以下の2つの情報が必要です。

1.成分の配合濃度を予測するための情報→(例)植物抽出エキスは1%以下

2.成分の効果が期待できる配合濃度の情報→(例)リン酸アスコルビルMgは医薬部外品では3%配合

専門的な内容になりますが、こういった情報をオープンにするのは、日本中でもこのメルマガだけですので、『本物コスメの目利き屋』を目指して頑張ってください。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第5回 NOATOクリーム回収

今週、(株)ラバンナが販売するNOATO(ノーアト)クリームから医薬品と同レベルのステロイドが検出されたことが報道されました。

産経新聞(7月30日)
http://www.news-service.ne.jp/tn/mailto_jump.cgi?fg=1&pg=213&ct=1&nid=191784

ネットの口コミサイトや美容ブロガーを中心に、アトピーに劇的に効果があると話題になり、既に5,000個以上の商品が販売されていました。

NOATOクリームの全成分表示は次のとおりです。

水、グリセリン、ワセリン、ウワウルシエキス、ボルネオール、チャ葉エキス、カンゾウ根エキス、アロエベラエキス、
キハダ樹皮エキス、オタネニンジンエキス、ローマカミツレエキス、イブキトラノオ根エキス、エチルパラベン

水、グリセリン、ワセリンは基剤、ボルネオールは香料、エチルパラベンは防腐剤です。残りの○○エキスはすべて植物抽出エキスになります。

こんなことが二度と起こらないように、はっきり言います。

化粧品に使用される植物抽出エキスでは、短期間でアトピーの症状を治すことはできません。植物抽出エキスは継続使用で、緩和なスキンケア効果を発揮するものなのです。

消費者が不法に配合されたステロイドを判別することは不可能ですが、効果と全成分表示との不自然なギャップを疑うことはできます。事実、劇的な効果を恐れて使用を中止した人もいたようです。

私は以前、製薬会社で研究開発をやっていたので、今回検出されたプロピオン酸クロベタゾールがどれだけ強いものかよく知っています。今回の確信犯が法で厳しく裁かれることを信じています。

偽物を見抜くことは難しいですし、そもそも偽物があってはならないのですが、私が提供できるノウハウで、化粧品を愛する人を少しでも守ることができればと、あらためてこのメルマガを続けていく決意をしました。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第6回 BG、DPG、グリセリン

化粧水、美容液、ゲル、乳液、クリームの全成分表示を見てみると、ほとんどの商品でBG、DPG、グリセリンのいずれかの成分が表示されていると思います。

これらは多価アルコールという保水性の基剤です。ここでは名前だけをおぼえてください。

そこで今日の『目利き力』です!

『化粧水、美容液、ゲル、乳液、クリームの全成分表示で、BG、DPG、グリセリンよりも前に表示されている成分は、高濃度で配合されている可能性が高い(その成分のスキンケア効果が期待できる)』

具体的には○○○が比較的上位にきている以下のパターンです(…は0個以上の成分)。

・水…○○○…BG…
・水…○○○…DPG…
・水…○○○…グリセリン…
・水…BG…○○○…グリセリン…
・水…DPG…○○○…グリセリン…

ただし以下のパターンでは、○○○が高濃度で配合されている可能性は低くなります。

・水…○○○…植物抽出エキス…BG…
・水…グリセリン…○○○…植物抽出エキス…BG…
・水…DPG…○○○…植物抽出エキス…BG…

少し取っつきにくい内容なので、次回メルマガでは実際の商品で分かりやすく解説をします。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第7回 BG、DPG、グリセリン 2

これまでお伝えしてきました『目利き力』で、実際の商品の全成分表示を読み込んでみます。

『資生堂 &フェイス アートメソッド クリアリングウオーター』

1.水
2.エタノール
3.DPG
4.ベタイン
5.グルコシルヘスペリジン
6.オリーブ葉エキス
7.チャエキス
8.シャクヤク根エキス
9.ジメチコン
10.(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
11.PEG-450
12.EDTA-3Na
13.(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー
14.BG
15.水酸化K
16.フェノキシエタノール
17.安息香酸
18.香料

この内容から以下のことが予測されます。

・最上位の植物抽出エキスは6になるので、6〜17の配合濃度は1%以下(第4回参照)

・1%以下は順不同なので6〜8のようなイメージのよい成分が前に表示されている(第3回参照)

・DPGの前の1、2は基剤になるので、特長的に高濃度で配合されたスキンケア成分はない(第6回参照)

この化粧水は2とコットンによるふきとりで、よごれや古い角質を除去することができます。肌の清浄と使用感のバランスがとれたいい商品ですが、保湿効果の高い4や、血行促進効果のある5が、DPGよりも前に表示されていれば、よりスキンケア効果が重視されていることを予測することができるのです。

これまでのメルマガでは、成分の配合濃度のレベルを予測するための情報をお伝えしてきました。次回からはコラーゲン、ヒアルロン酸など、スキンケア成分別の『目利き力』を伝授していきます。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第8回 ヒアルロン酸

『天然ヒアルロン酸はバイオヒアルロン酸より安全』

『ヒアルロン酸の2倍の保湿力のスーパーヒアルロン酸』

化粧品、美容サプリで人気のヒアルロン酸。巷ではヒアルロン酸の違いをアピールするケースが多くみられますが、このメルマガの読者には『天然』や『スーパー』に惑わされない『目利き力』をちゃんと伝授しますね。

化粧品に配合されるヒアルロン酸には、以下の種類があります(カッコ内は表示名称)。

1.鶏冠抽出ヒアルロン酸(ヒアルロン酸Na)
2.微生物発酵ヒアルロン酸(ヒアルロン酸Na)
3.スーパーヒアルロン酸(アセチルヒアルロン酸Na)
4.低分子ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸)

まず、安全性についは、鶏冠由来の天然ヒアルロン酸も、微生物発酵のバイオヒアルロン酸も変わりはありません。キユーピー、資生堂、紀文などの国内メーカーの原料が使用されていればより安心です。

また、スーパーヒアルロン酸はヒアルロン酸よりも保湿力が高いのは事実ですが、製品にわずかな量しか入れられてなかったら意味がないですよね。

実際、スーパーヒアルロン酸は非常に高価なので、成分表示だけのために微量配合されるケースが少なくありません。

1〜3のヒアルロン酸について、細かく言えば使用感や効果の違いはありますが、最終製品の保湿力を左右するのは、ヒアルロン酸の『配合濃度』と『組み合わせ成分』なのです。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第9回 ヒアルロン酸 2

ヒアルロン酸は化粧品への配合濃度が高いほど保湿力もアップします。ただし、多くの場合、その配合濃度は1%以下なので、全成分表示での順番が上位であっても、配合濃度が高いとは限りません。

ですので、全成分表示からヒアルロン酸の配合濃度を探ることはあきらめてください。

そこで、今日の『目利き力』。ヒアルロン酸配合コスメのチェックポイントです!

・全成分表示でグリセリンが上位に表示されている

・若干べたつく使用感

ヒアルロン酸は粉体であり、水を抱き込む性質がありますが、時間が経つとやはり乾いてしまいます。そこにグリセリンなどの保水性の基剤が配合されると、保湿力がグンと上がるのです。

『肌へのなじみが速い』、『浸透性がいい』といわれる商品の中には、『ただ乾きが速いだけ』というものもあるので、気をつけてください。

次回メルマガでは、『天然』、『スーパー』よりもおすすめ、『低分子ヒアルロン酸』の魅力を解説します。

それでは、よいお盆休みをお過ごしください。今日もお付き合いいただき、ありがとうございます!


第10回 ヒアルロン酸 3

低分子ヒアルロン酸とは平均分子量1万以下(ヒアルロン酸の数十〜数百分の一)のオリゴヒアルロン酸です。最大の特長は肌(角質層)へ浸透することです。

ヒアルロン酸は肌の表面に水の膜をつくることで、肌に水分を供給し、また、肌からの水分の蒸発を防ぎます。ただし、肌に浸透しないので、洗顔などで洗い流されてしまうのです。

肌に浸透した低分子ヒアルロン酸は、洗顔などで洗い流されず、保湿効果が持続します。毛髪にもしっかり浸透するので、ヘアケアでもおすすめの成分です。

低分子ヒアルロン酸の表示名称は『加水分解ヒアルロン酸』です。ヒアルロン酸と同様、全成分表示の順番から配合濃度のレベルを予測することは困難ですが、比較的低い濃度でも保湿効果が期待できます。

肌や髪のうるおい不足でお悩みの方は、ヒアルロン酸と低分子ヒアルロン酸が一緒に配合されている商品を試してみてください。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第11回 コラーゲン

コラーゲンは皮膚に多く含まれるタンパク質で、肌のもっとも奥の真皮で繊維状の構造をとり、肌のハリや弾力を維持しています。

スキンケア化粧品に使用されるコラーゲン原料には、水溶性コラーゲンと加水分解コラーゲンがあります。

水溶性コラーゲンはヒアルロン酸と同様、肌に浸透せず、表面で保湿をします。外から塗っても、真皮にコラーゲンそのものが補給されるわけではないのです。

水溶性コラーゲンには牛、豚、魚由来のものがあり、アミノ酸組成や使用感に若干の違いがあります。ただし、1%以下で配合されることが多いので、商品のレベルでは保湿効果に差はないと考えていいでしょう。

一方、加水分解コラーゲンは肌に浸透して効果を発揮します。続きは次回メルマガにて。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第12回 コラーゲン 2

加水分解コラーゲンとは、コラーゲンを酸、アルカリ、酵素などで分解したものです。コラーゲンペプチドともいわれますが、コラーゲンとはまったく違うものなのです。

加水分解コラーゲンは分子量が小さいので、肌に浸透します。ナノ化コラーゲンと表現した広告もよく見かけます。

加水分解コラーゲンには、真皮に存在する繊維芽細胞でのコラーゲン、ヒアルロン酸の産生促進作用があるので、肌の内部でのスキンケア効果が期待できます。

ただし、水溶性コラーゲンと同じく、劇的なスキンケア効果を発揮するものではありません。

『ナノ化コラーゲンで、お肌にコラーゲン補給!』といったキャッチコピーを、『ちょっといかがわしい』と感じるようになれることも、このメルマガで伝授したい『目利き力』の一つです。

次回メルマガでは植物性コラーゲンについて解説します。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第13回 コラーゲン 3

化粧品の広告やパッケージで『植物性コラーゲン』の文字をよく見かけます。ですが、コラーゲンは動物にしか存在しません。

コラーゲンの部品であるアミノ酸の一つにヒドロキシプロリンがあります。以前はコラーゲンにしか存在しないアミノ酸と思われていましたが、ニンジンにも含まれていることが分かりました。

このヒドロキシプロリンを含むニンジンエキスが『植物性コラーゲン』といわれているのです。でも、ちょっと無理があると思いませんか?

『植物性コラーゲン』には動物のコラーゲン原料のようなコクのある使用感はありません。男性5人の中にキムタクがいたとしても、そのグループが必ずしもSMAPではないことと同じです。

『植物性コラーゲン』は時代の流れと人気成分を組みあわせたキャッチーな表現ですが、これでもかと連発している広告を見ると、売り手の姿勢を疑ってしまいます。

次回も人気の化粧品成分の『目利き力』をお伝えします。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第14回 プラセンタエキス

プラセンタエキスは動物の胎盤の抽出物です。医薬品、化粧品、健康食品で使用され、それぞれ製造方法や含有成分が微妙に違います。

狂牛病の発生によって、動物原料であるプラセンタエキスの人気は一時ガタ落ちでしたが、ここ数年、プラセンタ注射(医薬品)を提供する美容クリニックが増え、再びブームになっています。

プラセンタ注射にはアンチエイジング効果が期待できるので、化粧品、健康食品の広告でも『塗るプラセンタ注射』、『飲むプラセンタ注射』といったニュアンスのコピーを見かけますが、これは本当でしょうか?

このメルマガでは売るための情報を一切排除し、医薬品、化粧品、健康食品の違いを解説します。そして商品を選ぶ時の『目利き力』もお伝えしていきます。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第15回 プラセンタエキス 2

医薬品のプラセンタ注射には、ラエンネック注、メルスモン注などの商品がありますが、許可されている適応症は肝機能改善や更年期障害などです。

いずれの商品も細胞を活性化させる作用があるので、医師の判断のもと、美容目的で使用されていますが、本来、広告にあるような『アンチエイジング』は効能効果として認められていません。

また、ヒトの胎盤を使用しているので狂牛病感染のリスクはゼロではなく、献血もできなくなります。プラセンタ注射をする場合には、こういった情報をきちんと説明してくれるクリニックを選ぶようにしてください。

プラセンタエキスには、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、糖類、核酸成分、各種成長因子(細胞を増殖させるもの)が含まれているといわれていますが、どの成分が美容効果につながっているのか解明されていません。

ただ、各種成長因子は、肌に塗ったり、食べてたりするよりも、皮下・筋肉注射の方が確実に体内に投与できるので、これがプラセンタ注射の体感につながっているのではと思われます。

では、化粧品、健康食品のプラセンタエキスには何が期待できるのでしょうか?

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第16回 プラセンタエキス 3

薬用化粧品や化粧品に配合されるプラセンタエキスにも、細胞を活性化させる作用があります。ただし、肌に塗布する程度では、製品中のプラセンタエキスの配合濃度が高くなければ、効果は期待できません。

薬用化粧品でプラセンタエキスが有効成分であれば、原料として数%程度配合されていることになりますが、これでもアンチエイジング効果を期待するには不十分だと思います。

化粧品ではプラセンタエキスを自由に配合できます。よって、化粧品で高濃度配合のものを探せばよいのですが、残念ながら全成分表示からプラセンタエキスの配合濃度を予測することは困難です。

そこで今日の『目利き力』

『プラセンタ化粧品は生臭さで選ぶ』

ひいた方もいらっしゃると思いますが、プラセンタエキスには動物原料特有の臭いがあります(脱臭処理は活性成分まで除去してしまう可能性があります)。ですので、高濃度配合の商品は当然生臭くなります。

化粧品として生臭いのは好ましくありませんが、アンチエイジング効果が期待できないような低濃度配合品で、『塗るプラセンタ注射』と訴求するのもどうかと思います(薬事法違反ですし…)。

次回メルマガでは食べるプラセンタについて解説します。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第17回 プラセンタエキス 4

プラセンタエキスを食べた場合の効果については、従来、体験談レベルの情報しかありませんでしたが、日本ハム(株)がヒトでのシミ増加抑制を確認するなど、少しずつ臨床データが報告されています。

日本ハム(株)中央研究所(PCサイト)
http://www.rdc.nipponham.co.jp/material/ma_pla.html

はたして、健康食品に『飲むプラセンタ注射』というレベルのアンチエイジング効果があるのか?…これについては少し疑問を感じています。

食べたものが肌に影響を及ぼすためには、活性成分が『胃で分解されない』、『腸で吸収される』、『肝臓通過で分解されない』などをクリアして、血液にのって全身の肌の細胞に供給される必要があります。

プラセンタエキスに含まれるアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどは体内で利用されますが、各種成長因子(細胞を増殖させるもの)などのタンパク質が、そのままの形で肌の細胞まで届くとは考えにくいのです。

ただ、プラセンタエキスには植物原料にはみられない生理活性成分がたくさん含まれています。今後、原料メーカーや販売元から、新しい研究結果が報告されることを期待しています。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第18回 セラミド

肌の一番外側にある角質層は、角質細胞がレンガのように重なっていて、その隙間は細胞間脂質でうめられています。肌のバリア機能は細胞間脂質が水分を保持することによって維持されています。

この細胞間脂質の主要成分がセラミドです。セラミドは年齢と共に減少します。また、アトピー性皮膚炎の方においては、肌のセラミドの量が少ないことが報告されています。

セラミドには水分と油分を保持する能力があるので、肌に塗布すると皮脂になじんで保湿効果を発揮します。水分だけを保持するコラーゲンやヒアルロン酸よりも、保湿効果の持続が期待できます。

化粧品にセラミドを配合する場合、高濃度配合の方がより保湿効果が期待できますが、0.5〜1%配合でも角質水分量を十分にアップすることができます。

セラミドの配合濃度が1%以下の場合、全成分表示から配合濃度を予測することは困難です(第7回メルマガ参照)。ですが、セラミド化粧品の選び方にも『目利き力』のヒントがちゃんとあります。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第19回 セラミド 2

それでは前回の続き、今日の『目利き力』です。

『セラミド配合の化粧品は、配合濃度(0.5%以上)を表記している商品を選ぶ』

そんなの目利き力じゃないよ!とツッコミがあるかもしれませんが、これには違うメッセージも含まれていいます。

セラミドの化粧品原料は高価です。しかも、製剤には配合しにくい成分なのです。そんなセラミドをせっかく多く配合したのなら、配合濃度をアピールしたくなるのが販売側の心理ですよね。

ですので、今日の『目利き力』の裏読みバージョンは、『セラミド配合を訴求しながら配合濃度をアピールしていない商品は、使用後にセラミドの効果が得られないかも…』となります。

セラミド配合の化粧品を使用すると、乾燥肌、ダメージ肌の改善が期待できますが、肌のセラミドが増える訳ではないので、使用をやめると元の状態に戻ってしまいます。

次回メルマガでは肌のセラミドを増やす方法をお伝えします。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第20回 セラミド 3

化粧品では認知の高いセラミドですが、美容サプリとして積極的に摂っている方は、意外と少ないのではないでしょうか?

前回のメルマガで予告しました肌のセラミドを増やす方法とは、セラミドを食べることなのです。

以前から、セラミドを食べると、角質の水分量がアップしたり、肌の状態が改善するなどの報告がありましたが、コメ由来セラミドの1ヶ月間摂取で、肌のセラミド量がアップすることが新たに確認されました。

このコメ由来セラミドは一丸ファルコス(株)が供給する食品原料で、問題となっている事故米等の使用はなく安全です。私が美容サプリの処方を設計する時には、よくこの原料を使用します。

体感としては、脂質が増える感じです。効果がでるまで2週間〜1ヶ月程度はかかりますので、セラミド配合の化粧品で肌の状態を整えながら、サプリでセラミド自体を増やしていくのがおすすめです。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第21回 コエンザイムQ10

医薬品のコエンザイムQ10が健康食品で解禁になり、2004年には原料が底をつく程の大ブレークがおきました。現在はブームも落ち着き、定番素材として健康食品、化粧品に配合されています。

化粧品でも2004年から使用できるようになりましたが、0.03%までしか配合できません。正直、この濃度ではコエンザイムQ10本来のポテンシャルは発揮されません。

海外では以前から高濃度配合の化粧品が流通しており、実際に数%レベルの商品を使用すると、肌のハリをはっきりと実感できます。

より安全な範囲で使用を許可したい行政と、ブームが終わらないうちに商品を出したい業界側の思惑が一致したのが0.03%という基準でしょうが、魅力のあるQ10化粧品がつくれないのは本当に残念です。

一方、Q10サプリは効果を体感しやすいといわれていますが、美容効果についてはどのくらい期待できるのでしょうか?

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第22回 コエンザイムQ10 2

コエンザイムQ10は体を構成する約60兆個の細胞のほとんどに含まれ、エネルギー産生や抗酸化などの働きをします。特に心臓、腎臓、肝臓、膵臓、脳、肺などの臓器には多く含まれています。

体内では加齢とともに減少し、80歳代では20歳代に比べて、心臓で50%、表皮で65%以上も失われてしまうという報告もあります。まさにアンチエイジングのキーになる成分なのです。

Q10サプリの体感で一番多いのが『疲れにくくなった』です。これはコエンザイムQ10が心臓など、生命維持に必要な部位から優先的に補給されていくからです。その点で肌はどうしても後回しになります。

ただ、美容面での体感もよく聞かれます。臓器などでコエンザイムQ10の不足が少なければ、比較的速く肌に変化があらわれることもありますが、美容のためにはしばらく摂取を続けられることをおすすめします。

…と、ここまでは一般的な情報になりますが、Q10サプリの効果を最大限に得るためには、ちょっとしたコツがあります。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第23回 コエンザイムQ10 3

それでは、早速、今日の『目利き力』です。

『Q10サプリは自分にあった摂取量をみつける』

コエンザイムQ10の吸収率には個人差があり、最大で約6倍にもなるという報告もあります。ですので、劇的な体感がある人と、イマイチ効果を感じていない人がでてきてしまうのです。

コエンザイムQ10の1日推奨摂取量については、医薬品で服用されていた量を越えるものが多いため、現在、業界団体を中心に市販後の安全性調査をおこなっています。

業界団体では国内外の研究や文献の調査から、1日摂取量の上限を300mgと考えています。もともと安全性が高いので、市販後調査の結果を踏まえ、いずれこの数値が認められる可能性が高いと思われます。

とはいえ、いきなり多い量を摂取するのはおすすめできませんので、1日30〜100mgのレベルで自分にあう量をみつけてみてください(その場合、他の配合成分が過剰摂取にならないように気をつけてください)。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第24回 ビタミンC

アスコルビン酸Na、リン酸アスコルビルMg、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na…

これらは医薬部外品や化粧品に配合されるビタミンC原料の一部です。ビタミンCそのものであるアスコルビン酸ではなく、どうしてたくさんの種類の、しかも、こんなややこしい名前の原料を使用するのでしょうか?

アスコルビン酸には強力な抗酸化作用がありますが、自らが酸化することによって効果を発揮するため、製品に配合すると、製品自体の酸化を防ぐために分解してしまいます。

そこで、冒頭の原料のようにNaなどの塩を付けたり、誘導体化して、製品中で酸化しないよう工夫されてきました。さらに、ビタミンC原料はその構造によって、効果や安全性が違ってきます。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第25回 ビタミンC 2

医薬部外品、化粧品のビタミンC原料には、大きく分けて水溶性(水に溶ける)のものと、油溶性(油に溶ける)のものがあります。今回は水溶性ビタミンCついて解説します。

水溶性ビタミンCは、アスコルビン酸の状態になりやすいので、高濃度で配合すると即効性が期待できます。その反面、アスコルビン酸特有の刺激、乾燥などの副作用もでやすくなります。

水溶性ビタミンCの代表的なものとして、アスコルビン酸Na、リン酸アスコルビルMg、アスコルビン酸グルコシド、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naがあります。

アスコルビン酸Na、リン酸アスコルビルMgは、アルカリ性の製品でなければ安定配合できません。よって、アルカリ性が苦手な方は、この成分名が表示された商品は避けた方がいいかもしれません。

一方、弱酸性でも安定配合できるのがアスコルビン酸グルコシドです。医薬部外品の有効成分としても使用されていますが、正直、効果の面ではちょっと…といった感じなのです。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第26回 ビタミンC 3

それでは前回の続きです。アスコルビン酸グルコシドがスキンケア効果を発揮するためには、グルコシダーゼという酵素によって分解され、アスコルビン酸に転換される必要があります。

ところが、皮膚内ではグルコシダーゼによるアスコルビン酸転換速度が非常に遅いのです。そこがアスコルビン酸グルコシドの弱点です。安定配合と効果のバランスは、ビタミンC原料の永遠のテーマだと思います。

水溶性ビタミンCは油溶性ビタミンCに比べて、皮膚に浸透しにくい欠点があります。これをカバーするために、水溶性でありながら油(皮膚)にもなじみやすくしたのがパルミチン酸アスコルビルリン酸3Naです。

新しい原料で、アプレシエという商品名で紹介されることもあります。ビタミンCの切り札のよう派手にアピールしている広告もありますが、肌への浸透性はやはり油溶性ビタミンCの方が優れています。

次回メルマガでは、その油溶性ビタミンCについて解説します。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第27回 ビタミンC 4

今回は油溶性ビタミンCについて解説します。油溶性ビタミンCの最大のメリットは、皮膚になじみやすいことです。また、アスコルビン酸への変換が遅いので、即効性はありませんが、効果の持続性が期待できます。

よく使われているのがテトラヘキシルデガン酸アスコルビル(VC−IP)です。抗酸化、美白効果はもちろんのこと、皮膚への吸収や、細胞中へのアスコルビン酸の取りこみに優れていることも確認されています。

アスコルビン酸への変換が遅いということは、酸化しにくいということですので、製品中での安定性も良好です(弱酸性で配合が可能です)。

ただし、化粧水など水ベースの製品に配合する場合は、界面活性剤などで溶かしこむことが必要です。流行のオーインワンジェルにもよく配合されていますが、微量しか添加されていないケースが多いようです。

4回にわたってビタミンC原料について解説してきましたが、少し専門的で分かりにくい点もあったと思います。そこで、次回は総括編として、『ビタミンCならコレ!』をお届けします。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第28回 ビタミンC 5

ビタミンC原料には、前回まで紹介したもの以外にもたくさんの種類がありますが、『結局、どれが一番いいの?』と聞かれれば、私は迷わず『テトラヘキシルデガン酸アスコルビル(VC-IP)』と答えます。

油溶性なので、乳液やクリームなどに高濃度配合(3〜5%)された化粧品がおすすめです。全成分表示からビタミンC原料の配合濃度を探る『目利き力』は、第3〜7回のメルマガを参考にして下さいね。

『目利き力』はちょっと面倒…という方にも嬉しい情報があります。VC-IPが医薬部外品の有効成分として認可されました。有効成分の濃度は決まっているので、これなら間違いなく高濃度配合のレベルになります。

ただし、VC-IPが配合されていても、他の原料が有効成分になっているケースもありますので、気をつけて下さい。今後、市場にVC-IPの薬用化粧品が増えてくると思いますので、チェックしてみて下さい。

一方、化粧水やゲルなどには、水溶性ビタミンCの方が高濃度配合しやすくなります。水溶性では皮膚へのなじみがよいパルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(アプレシエ)がおすすめです。

VC-IPとアプレシエ。この機会に成分名もおぼえて下さいね。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


第29回 エラスチン

エラスチンは動脈、肺、皮膚など、弾力性や伸縮性が必要な組織に多く存在してる不溶性のタンパク質です。皮膚ではコラーゲン繊維を輪ゴムのように束ねることで、真皮を支えています。

コラーゲンと同様、皮膚中のエラスチンも加齢とともに減少していきます。また、伸縮性も悪くなるので、皮膚の土台である真皮の組織が維持できず、結果、『たるんだ肌』になってしまいます。

化粧品には水に溶けるように加工された加水分解エラスチンが配合されます。残念ながら皮膚に塗っても、真皮のエラスチンは増えませんが、含有するアミノ酸によって皮膚の表面のうるおいを保ちます。

コラーゲンやヒアルロン酸よりも皮脂になじみやすい特長がありますが、表示目的で微量配合されるケースが多いので、正直、化粧品の『エラスチン配合』には期待しすぎない方がいいと思います。

化粧品ではちょっぴり脇役のエラスチンですが、ここ1〜2年、サプリメントではアンチエイジング素材として注目を集めています。

続きは次回メルマガにて。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第30回 エラスチン 2

化粧品の人気成分のコラーゲンが美容サプリメントでブレークしたように、最近、『食べるエラスチン』が話題になっています。

以前から食品用のエラスチン原料はありましたが、大手の日本ハム(株)がエラスチンペプチドの原料供給を開始したことにより、美容サプリメントにエラスチンが配合されるケースが増えてきました。

エラスチンを食べることで、肌の弾力性が向上したり、シワやキメが改善するなどの研究報告がありますが、肌の中でエラスチンが増えるのか?という疑問については、残念ながら解明されていません。

また、エラスチンがコラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などの美容効果を高める可能性も報告されているので、これらの美容成分が一緒に摂れるサプリメントがおすすめです。

エラスチンの新しい研究結果や『目利き力』は、随時、このメルマガでお伝えしていきますね。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第31回 スクワラン

スクワランは無色透明、無臭の液状オイルです。たくさんの化粧品で使用され、また、べたつきが少ないので、100%のピュアオイルも人気があります。

ヒトの体の中にあるのは、スクワランではなくスクワレンです。1文字違いでややこしいので、迷った時はこのメルマガを読み直してくださいね。

スクワレンは皮膚に多く存在し、皮脂には10〜14%程度含まれています。ただし、非常に酸化されやすいので、そのまま化粧品に使用することはできません。

スクワレンを酸化しにくくしたものがスクワランです。皮膚の表面を保護し、乾燥を防ぎます。ネットなどで、スクワランに生理活性があるような情報がみられますが、これはスクワレンの情報と混同しています。

『スクワランは単純に、肌へのなじみがよい、安全なオイル』です。

次回は植物性スクワランのお話です。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第32回 スクワラン 2

化粧品では従来よりサメを原料としたスクワランが使用されてきました。一方、オリーブからとれたスクワランも供給されるようになり、市場では『植物性スクワラン』と呼ばれたりしています。

狂牛病問題に便乗して、『植物性』を過剰にアピールするケースもみられますが、スクワランの化粧品原料については、サメ由来、オリーブ由来とも問題はなく、とても安全なものです。

また、スクワランとしての純度が高いので、塗った時の使用感もほとんど同じです。

スクワランは自然災害や天候不良などで供給が不安定になることをがあります。原料の由来よりも、むしろ、品質が一定で適正な価格が設定されているところに、販売会社の企業努力があると考えてください。

天然、上質、高純度のスクワラン…こういったコピーの高価格商品はあまりおすすめできません。なぜなら、日本では高純度でないスクワランを入手することの方が難しいのです。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

第33回 トホホな広告

仕事がら、たくさんのコスメやサプリの広告をチェックしますが、とくにCSのショッピング番組とかみていると『うわ、言っちゃったよ〜』と頭を抱えてしまうことがあります。

美容効果に根拠がなくても、薬事法に違反していても、カリスマ社長は自信たっぷりに語ります。

次回から、そんなトホホな広告をちょっぴりコミカルに斬っていきます。広告の見方が変わると楽しいですよ!


第34回 成分が肌に浸透!

お馴染みのフレーズですが、実はこれ、薬事法違反です。正しい表現は『成分が角質層に浸透!』。実際に成分が角質層よりも奥まで浸透しても、言ってはダメなのです。

化粧品のノウハウが少ない企業は薬事法にも鈍感です。自信たっぷりのNGワードを耳にすると、『当社はノウハウがないですよ!』と胸を張って宣言しているように聞こえてしまいます。


第35回 人工皮膚化粧品

なんじゃそりゃ?

チラシを読んでいくと、医療で人工皮膚の素材として利用されているキトサンを配合…ん?それだけ?

キトサンは肌に塗っても、皮膚を再生したりしません。特に貴重なものでもなく、化粧品技術者にとっては単なる保湿剤です。

誇大広告と薬事法違反のダブルパンチ!強烈ですね。

第36回 人工皮膚化粧品 2

前回よりも上をいく人工皮膚化粧品の広告がありました。

『他社の類似品では、ただのキトサンなどの美容成分を、人工皮膚成分として配合しているだけ』

で、その中身は…『ただの』美容成分の数が増えているだけでした。

『人工皮膚』のような医療用語を、化粧品の広告に使用するのは薬事法違反です。食品偽装の話が絶えませんが、法を守らない会社の商品は食べたくないですよね。同じことです。


第37回 ノーベル賞受賞成分配合

EGFを配合した化粧品でよく使われているコピーです…が、商品の販売目的であれば、違反広告になります(医薬品等適正広告基準)。

特にネットはひどい状態です。販売サイトやブログで、このコピーがド派手な文字でドーンと表示されます。罪の意識が全くないのでしょうが、本当にこの業界には素人さんが多いのです。

第38回 ノーベル賞受賞成分配合 2

前回のメルマガをみて、『ノーベル賞をとった成分って効果はあるのですか?』とのお問い合わせをいただきました。

広告ではまるで『モンドセレクション受賞!』みたいなノリですが、ノーベル賞を受賞したのはEGFの発見であり、EGFを肌に塗った場合のアンチエイジング効果ではありません。

EGFは新しい細胞をつくる画期的な成分ですが、角質層よりも奥に浸透しないと効果は発揮できません。残念ですが、理論的にEGFの分子量レベルのものは角質層を通過しにくいのです。

事実と広告のギャップ…私はこういった業界のやり方に疑問を感じています。ぜひ、このメルマガをお友達にも紹介してください。一人でも多くの女性が、素晴らしい化粧品に出会えることを応援します!

第39回 皮膚呼吸を妨げません

オイルフリーのオールインワンジェルの広告などでよく見かけるコピーです。さらに『金粉を全身に塗ると人間は死んでしまいます』と、こわーい脅しまで…

『カエルか!』とツッコミたくなります。人間は皮膚では呼吸をしません。金粉の話も迷信です(具体的な情報はどこにもありません)。

コピー自体は違法ではありませんが、こういう会社がお肌の悩み相談とかやっているのを見ると、痛々しくなります。

でも皮膚を密閉することはあまりよくないのでは…それについては次回メルマガでフォローしますね!

第40回 皮膚呼吸を妨げません 2

皮膚には水分の蒸発を感知する湿度センサーのようなものがあることが、最近の研究で分かってきました。角質層のバリアが壊れると、そこからでていく水分が多くなるので、これをモニターしているのです。

バリアが壊れたと感知すると、皮膚は免疫反応で細菌の侵入をブロックするよう指令をだします。また、抗菌ペプチドをつくり、侵入してきた細菌もやっつけます。このシステムによってバリアは回復します。

ところが、水分を通さない膜で皮膚を覆うと、このセンサーはバリアの状態をモニターできなくなります。

『オイルの膜は水を通さない!やっぱりオイルはよくない!』

はたしてオイルフリー派の主張は正しいのでしょうか?続きは次回メルマガで。


第41回 皮膚呼吸を妨げません 3

オイルは肌を密閉してしまうイメージがありますが、水分を通すオイルもあります。また、化粧品の使用量であれば、オイル分はある程度皮脂膜と混ざっていくので、肌が完全に密閉されてしまうことはありません。

肌あれがひどい場合は、とにかく、それ以上の乾燥をさせないことです。密閉効果の高いワセリンのようなものを一時的に用いることだってありなのです(にきびを密閉してしまうのはNGですが)。

販売会社は皮膚呼吸みたいなインチキくさいことを言わず、使用感のバランスのよさ、手軽さを、堂々とアピールして欲しいですね。オールインワンジェルだけでOKな女性もたくさんいるのですから。


第42回 100%天然!完全無添加!

『100%』は何かを保証するような強調表現になります。『100%天然』『100%ナチュラル』『100%ピュア』…すべてNGワードです(医薬品等適正広告基準)。

同じく『完全』も強調表現でNGです。また、『無添加』は広告のキャッチフレーズとして使用してはダメなのですが、いまだに広告のトップでドーンとやってますよね。

トホホな広告はまだまだ続きます。

『完全無添加だから腐ります』『冷蔵庫での保管が天然のあかし』

なるほど!…って思わないでくださいね。次回メルマガでバッサリ斬らせてもらいます。


第43回 100%天然!完全無添加! 2

冷蔵庫に保管すれば、消費期限内は問題ありません…?

考えてみてください。冷蔵庫で何ヶ月もたった手作りハーブティーを飲めますか?

『腐る』ってことは『腐りやすい』のです。食品ならお腹をこわしますが、化粧品は菌が増えていくのが分かりにくいのです(アトピーの方は副作用がでやすくなります)。

『問題ありません』の根拠はなんですか?

そう問いかける姿勢を忘れないでください。インパクトがあるコピーは、偏った情報であることが多いのです。

第44回 100%天然!完全無添加! 3

せっかくなので、天然コスメの『目利き力』についても解説しますね。

天然コスメを購入する場合は、必ずパッケージに表示されている全成分の情報を入手してください(広告やホームページでは情報が不足していることが多い)。

全成分中に○○エキスや○○油以外の成分あればが、次のどれにあてはまるのか、企業に問い合わせてみてください。

1)天然物質と合成物質を化学反応させたもの

2)天然物質に化学的な処理をしたもの

3)天然と同じ物質を完全に化学合成したもの

4)天然と同じ物質を微生物につくらせたもの

回答を渋る、または、『100%天然です』としか言わない企業の商品はおすすめできません。業界にルールがないので、どこまでを天然として受け入れるかは購入者の判断になるのですが…

ただ、天然が安全を保証するものではないことだけは、化粧品技術者として、はっきりお伝えしておきます。

第45回 100%天然!完全無添加! 4

広告で『天然』と『無添加』がセットでアピールされることが多いのは、『天然=安全』というイメージを利用しているからなのです。

本当に安全性を追究していれば、安全である理由を理論的に説明できるので、『天然』に頼る必要はあません。ましてや『100%』『完全』と消費者を下品にあおることもないのです。

『無添加』については何が添加されてないのか明記することが、業界のガイドラインで求められています。

普通の化粧品ではどうしても皮膚刺激がでてしまう方がいます。販売会社が困っている人を惑わすようなことがあってはならないと強く思うのです。

第46回 ナノ vs ノンナノ

『ナノテクノロジーで成分が浸透!』

さすがにキャッチコピーには新鮮さを感じなくなりましたが、ネットを中心に、まだまだたくさんのナノコスメが販売されています。

ところが最近になって、ナノ成分が肌の奥に浸透した場合の安全性が懸念されると、すかさず天然系コスメが『ノンナノ』をアピールしはじめます。

そもそもナノコスメは本当に肌の奥まで浸透するのでしょうか?

『ナノ vs ノンナノ』の表舞台では語られることのない本質に、つっこんでみたいと思います。

第47回 ナノ vs ノンナノ 2

一般的にナノコスメとは、有用成分が乳化している粒子状態をナノレベル(1ナノ=100万分の1mm)にしたものす。

『粒子が小さいから肌の奥まで浸透する!』がお決まりのフレーズですが…

ナノ粒子は角質層までは物理的に浸透しますが、それよりも深部には浸透しません。角質層は死んだ細胞なので、ナノコスメには画期的な効果も副作用もないと考えます。

安全性が懸念されているのは、ファンデーションやUVカットに使用されているナノ金属です。ただ、業界も安全性の確認を進めているので、横っちょで天然系コスメが『ノンナノ』と騒ぐのもどうかと思うのですが…

第48回 ナノ vs ノンナノ 3

ナノコスメには肌を再生するような効果は期待できませんが、すーっとなじむような使用感がお好きな方もたくさんいらっしゃると思います。

商品選びの時には、次の内容をチェックしてみてください。

・どの成分がナノ化されているのかきちんと説明されている

・ナノ粒子のサイズを公表している

ナノコスメだけではありませんが、キャッチコピーの根拠をきちんと説明している商品にハズレはありません。